住宅ローン

住宅ローン金利の影響

2023年10月31日、日銀が金融政策の運用をより柔軟化し、
「長期金利」が1%を超えても一定の水準までは容認する方針を決めたことを受けて、
2023年11月の長期固定型の住宅ローン「フラット35」について、住宅金融支援機構は3か月連続で金利を引き上げました。

でも、そもそも「長期金利」って、私たちの普段の生活にどう関係があるのでしょうか?
そんなに身近な存在ではないので、ピンとこないのは無理もありません。
今回の記事では、最近新聞で話題となる長期金利と家計について解説していきます。

金利の基礎知識

金利って何だろうと思ったことはありませんか?
これは、簡単に言うと、お金を借りるときに支払う「レンタル料」のようなものです。
つまり、「金利が高くなる」とは、「レンタル料」が高くなると同じ事です。

例えば、家を買うときには、ほとんどの人が銀行から住宅ローンを利用していますよね。
金利が上がるというのは、毎月の家のローンの返済額が増えるということ。
これは、家計にも直接かかわってくる、ともて大切なポイントです。

金利が上がるとどれくらい家計に影響があるの?

金利が上がると、私たちの生活にどの程度の影響を及ぼすのでしょう?
実際の例を見てみましょう。

たとえば、家を買うために4,000万円を銀行から借りたとします。
この時の借りる金利が1.0%だと、35年で返す総額は約4,742万円になります。

でも、もし金利が2.0%の場合だったらどうでしょう?
同じく35年で返すと総額は約5,565万円に跳ね上がります。
金利がたった1.0%だけ上がるだけで約823万円もの大きな差が出てしまうのです。

もし既に住宅ローンを組んでいる場合は、既に返済を進めているので、ここまでの大きな影響はないかもしれませんが、
それでも金利が変われば総返済額に影響がでます。

時期金利月々の返済額総返済額
借入当初1.0%¥112,914
10年後1.5%¥119,820
20年後2.0%¥123,553
ローン終了時(35年後)約5,016万円

上の表は、金利が1.0%から2.0%へ段階的に上がると月々の返済額がどのように増加するかを示しています。
また、ローン期間終了時の総返済額も表示しています。
当初4,000万円を1.0%で35年間で借り入れた場合の月々返済額112,914円

金利上昇は自宅の購入力にも影響する

金利が上がると、家を買うのに必要なお金が実質的に増えるため、購入できる家の価格が低くなります。

たとえば、家計的に月々の住宅費として12万円が使えるとします。
金利が1.0%の時には、4,200万円の住宅ローンを組むと、毎月の返済は118,559円となり、これは家計の許容範囲です。

しかし、もし金利が1.5%に上がれば、同じ12万円の返済で借り入れることができる金額は3,900万円に減り、月々の返済は119,411円となります。

金利がわずか0.5%上がっただけで、家の買う予算が300万円減少してしまうのです。

このように金利が上昇すると、同じ予算で買える家の価格が下がるため、市場における家の買い手の数が減り、
結果として不動産の価格が下落することにつながるのです。これが、金利の上昇が家の購入力に及ぼす影響であり、不動産市場における金利の重要性を示しています。

長期金利とは?

では、金利の中でも「長期金利」とは何でしょうか?

「長期金利」とは一年以上の長い期間にわたって適用される金利のことを指します。
住宅ローンにおいても重要な役割を果たしているのですが、実は、その影響は特定の条件下の人に限られています。

具体的には、長期固定金利で新たに住宅ローンを組もうとしている人が、長期金利の変動によって影響をうけます。
新たに住宅ローンを組む時の金利が去年よりも上昇していれば、去年組んだ人より、これから組む人たちの方が支払う利息が増え、
その結果として住宅を購入するコストが上がります。

一方で、既に長期固定金利でローンを組んでいる人や、変動金利でローンを組んでいる人(もしくは組む人)は、長期金利の上昇から直接的な影響は受けません。
(長期固定金利で借り入れている場合、金利は契約時に固定されるため、後から金利が上がったとしても既存の住宅ローンの金利は変わりません。)

なお、変動金利の場合は、長期固定金利とは異なる基準金利に連動しているため、ここでの長期金利の上昇とは直接関係ありませんが、
その詳細はまた別の機会で説明します。

<住宅ローンにおいて、長期金の上昇が影響を受けるケース>

これから新たに長期固定金利で住宅ローンを組む人

×既に長期固定金利で住宅ローンを組んでいる人

×変動金利で住宅ローンを組む人(または、既に組んでいる人)

このように、実は「長期金利」の上昇が与える住宅ローンへの影響は限定的ながらも、不動産市場にも波及する可能性があります。

まとめ

金利と家計は密接に関係しています。

これからのニュースで金利の動向に関心を持つきっかけになれば幸いです。